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歯科医師部会

歯科医師部会情報　№137

親族間の金銭の貸し借りの留意点

　親族間の借金は珍しくないですが、利息もなく返済の意思も確認できない場合には、贈与と認定されて多額の贈与税が課されるケースもあります。贈与税は贈与額が高ければ高いほど税率が高くなる累進課税が適用され、税率は最大55％に達します。

　判例でも、親族間で財産的利益が付与された場合には、『特別の事情が存在しない限り、贈与と認めるのが相当』とされるため、金銭の貸借だと主張するには当事者間で金銭消費貸借契約があったことを、明確にする証拠を提示しなければなりません。

≪金銭貸借があったと証明するための契約書の作成≫

　金銭の貸し借りを含め、契約そのものは口頭でも当事者間の同意があれば成立しますが、第三者に契約の存在を主張するには書面の証拠が必要です。
　契約書には、借主のみが署名捺印する「借用書」と、当事者双方が署名捺印する「金銭消費貸借契約書」の二種類があります。いずれを選択しても、証拠としての重要性は変わりませんが、二通作成し、貸し手と借り手の両者手元に保管する金銭消費貸借契約書の方がよりベターとされます。

≪返済履歴の証明≫

　国税庁のタックスアンサーにおいては、「実質的に贈与であるにもかかわらず、形式上貸借としている場合や『ある時払いの催促なし』又は『出世払い』というような貸借の場合には、借入金そのものを贈与として取り扱う」ように回答しています。

　つまり、契約書を作成し形式上の体裁を整えるだけでは不十分であり、実際に契約を履行している事実の証明が求められます。この場合、現金取引は証拠を残しにくいので、返済については手間がかかっても口座振込で行うことがポイントとなります。

≪借入利子の設定≫

　上記の要件を満たして、金銭消費貸借契約の事実を証明できたとしても、借入利子の設定がないと、「支払わなくて済んだ利子相当額の利益を受けたものとして、「贈与」となる場合があります。

　国税局の内部通達においては、夫婦間や親子間などの「特殊な関係がある者」の間で交わされた、無利子の金銭貸借は、「その利益を受ける金額が少額である場合には、強いて贈与としなくてもよい」との記載もありますが、無用なリスクを避けるためにも、親族間の金銭貸借であっても利子の設定をしておくに越したことはないでしょう。

≪決論≫

　親族間の借金は、「利息ゼロ、ある時払い」というケースも珍しくありません。
　しかし、利息もなく返済の意思も確認できないと国税当局より「贈与」と認定されて多額の贈与税額が課されかねません。
　親族間の金銭消費貸借契約であることを主張するための上記ポイントを押さえ、慎重に行ってください。

R7年5/26『納税通信』より

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